建設機械メーカーへのAI導入にあたって、導入前から検討が進められていた「トータル的なソリューション改革計画」で何ができるのか、何が変わるのか考えてみたいと思います。まず、現場の測量時間の短縮、精度の飛躍的向上があります。従来の人手による丁張り、水糸(水縄)などの計測作業では、1週間かけても数千地点の測量がやっとだったと言われています。それがドローンを使った測量では、わずか15分の写真撮影によって数百万地点の計測を可能にしました。1000分の1の時間で、1000倍の地点を計測するのです。大きな生産性向上につながります。精度の違いも明白です。ある現場の土量測定では人手で1万4100立方mと予想し、ドローンでは1万7600立方mと計測。結果的に、正解はドローンのほうで、その土量差3500立方mは10トンダンプでおおよそ600台分に相当すると言えます。無駄の排除です。次に、施工現場の3次元データを自動生成し、施工完成図面を3次元化して2つのデータを照合することで、施工範囲・土量などを自動計算します。工期ごとに施工をシミュレーションできるので、作業内容を事前に把握できるというメリッ卜が出てきます。そしてICT建機で施工することで、初級者のオペレーターであっても、すぐに上級者並みの施工ができるようになります(熟練オペレーターの技術がシステムに組み込まれている)。初級者でもいきなり即戦力になるということです。最後に、管理者はその日の出来形、出来高をリアルタイムに確認でき、クラウドに蓄積された施工データをもとにして、工事完了後も納品図書の作成、あるいは将来の維持管理に役立てることができます。このような「トータル的なソリューション改革計画」によって、建設業界全体に大幅な生産性アップが見込めることがわかります。